オヤジとエッチしちゃいました

感謝感激雨あられの続き

日曜の午後、文太が店の用事に一区切りをつけて居間に上がると、拓海が出かける準備をしていた。
「……今日も「出勤」かぁ?」
「そうだけど」
平日でもないのに学ランを丁寧に畳んでスポーツバッグに仕舞う拓海に、文太は「ほぉ」とだけ言った。
「なんだよ、オヤジ」
「別にぃ……お前、売れてんのかよ」
「なんだよその言い方っ」 むきになって言い返すということは、イマイチ売れていないということだ。

拓海の、ガソリンスタンド以外のもう一つの「バイト先」のことだ。
「最初はダメだったけど、最近はまあまあ売れてるよ。池谷先輩にはまだまだ適わないけど」
「走りじゃ買ってても、そっちはまだまだか」
少し馬鹿にしたような言い方に、拓海はむっとした。
「んだよっ。オレだってまだ入ってそんな経ってねーしっ。オヤジだってあの店何回かしか行った事ない癖に」
「えらそうな口叩くんだったら、もうちょっと売れてみろよ。あんまり貯金貯まってねぇんだろ」
「……そうだけどっ。もう、人の通帳勝手に見んなよっ」

最近、走り屋の端くれになり、自分の車が欲しいと思ったらしい拓海は、先輩である池谷と同じ「オスカー・ワイルド」なるボーイズバーで働いている。
走りの腕前では池谷にかなりの差をつけている拓海だが、ボーイズバーでの売上では池谷の足元にも及ばないようだ。
「大体高校生があんな店で働くこと自体が重大な違反だぜ」
「るせー息子に無免許運転させといて何言うんだよ」
自分で用意しなくてはいけないというコンドームなどの入った小さなバッグを詰めると、準備は完了のようだ。

あれから何度か、文太はあの店に行って、池谷や他のボーイのサービスを受けた。
すっかり、その道に堕ちたようである。

「お前は愛想ねぇからなあ拓海」
「愛想無いのがいいって客もいるんだよ、中には」
「学ランも時期限定だぞ」
「うるせー……」
確かに、愛想は池谷のほうがはるかに良い。テクニックも、だ。
今は若さと学ラン姿でのサービスを売りにしているようだが、いつまでもそれが通用するとは限らない。
「じゃあ試してみる? オヤジ……オレ、結構上手くなってんだけど」
時間はまだまだ大丈夫だからさ、と拓海が時計を見上げた。
「……ほぉ、別にいいけどよ」
売り言葉に買い言葉とはこのことだ。
文太は無精ひげの伸びた顎を撫でながら、了承した。

一度堕ちてしまえば、後は何処までも転がっていくものだ。

ついこの間までは男同士なんて、と言っていた文太だが、気づけば店が終わったら財布を握り締めてあの店に通っているのだから。
息子とすることくらい……。


店を閉めて二階に上がると、拓海に態々学ランを着させた。
「商売道具だからあんま汚さないでくれよ」という拓海に、
「これ学校のヤツじゃねえのか」
と文太が訊いた。
てっきり学校も店も同じ学ランかと思っていたら、店用にと池谷から学ランのおさがりを貰ったのだという。
そういえば少し着古した感じがするなと思った。その方が余計リアルさが増していいらしい。
「オヤジ相手ってなんか調子狂う……」
ぶつぶつ文句を垂れる拓海だが、言いだしっぺは自分だ。

「客相手もそんな感じか、お前は」
「違うけどさ……」
部屋の壁に凭れ掛かって立つ文太の前に跪き、拓海は文太のジーンズの前を寛げていく。
「オヤジのってみんながおっきいって言ってるぜ……」
「そりゃどうも」
「みんな舐めたいって。しゃぶりたいってさ」
「ほぉ、そりゃ光栄だ」
「真珠とか入れないの?」
「オレはカタギだぞ」
「入れたらもっとモテるよ。あと、オヤジには池谷先輩が一番指名されてるから、池谷先輩、みんなに羨ましがられてる」
半勃ちの文太の竿が拓海の眼前に現れる。
「……確かに常連の中じゃ飛び抜けておっきいかも」
拓海は目を細めてそれに口付け、ゆっくりと口戯を始める。
「ん、」
ちろちろと亀頭や裏を浅く舐めながら、脚に抱きついてくる。かと思えば、喉の奥まで一気に咥え込む。
「拓海っ、」
拓海はまあ、上手なほうだろう。
垂れてきた唾液をぬぐいもせず、じゅぶじゅぶと卑猥な音をさせながら、文太の竿を口で懸命に愛撫する拓海の顔は、実の息子ながらエロいものだ。
「オヤジのに、口ん中犯されてるみたいっ……」
「それが殺し文句かよ」
「んだよ、せっかく褒めてやってんのにっ……」
口の中でひときわ大きく硬くなった文太の竿に、拓海はさっきの台詞が効いていると感じた。
「口だけだからな、お客さんとるんだからお尻は駄目だから……」
「わかってる」
拓海の懸命な奉仕は、はたまた「仕事上の振り」かもしれないが、文太にはなかなかのものに思えた。
それでもまだ、池谷の方が断然上手い。
「オヤジの先走り、すごく苦い……」
「自分の父親のを旨いとか思ったらやばいだろうが……ほら、立て」
「え、だってまだ終わってないし……」
「やっぱり池谷と比べたらいまいちだな……入れねーから身体触らせろよ。素股でもいいから」
「えぇっ……素股ぁ?」
「それなら入れねぇから大丈夫だろーが」
「そうだけどさ……」

畳の上に拓海を転がすと、文太が覆いかぶさった。
「っ、オヤジっ」
文太の手が拓海の学ランの前を肌蹴る。金ボタンがはじけた。
シャツの裾からもぐりこんだ冷たい両手が、拓海の乳首を捉え、摘まむ。
「ぁあっ、っは、」
「いい感度してんじゃねーか」
拓海の耳朶を甘く食みながら褒めてくれる。拓海は軽くのけぞった。
「演技なしでそれなら、売れるんじゃねえか」
「うるせ、っ」
「ここ感じるんだな。自分で弄ってんのか」
「悪いかよっ……」
両乳首をコリコリと転がす文太の指はいやらしく、強弱をつけながら拓海の快感を確実に引き出していく。
拓海は文太の背中に手を回し、脚を腰に絡めた。
「あっは、っ、オヤジっ、もっと……っ、」
演技でもなんでもない。本気で、拓海は感じていた。
文太がシャツをまくり、片方の乳首に吸い付く。ちゅぱっとワザと音を立てて。
「んんんっ……!」
「吸ってたら母乳出るんじゃねーか」
「出るかよッ、」
「こんなに感じてんだぜ、出ちまうかもな」
部屋に響く音をさせながら文太は拓海の胸を吸い続けた。時折、脇腹にも吸い付いた。
片手で股間をまさぐってやると制服の黒いスラックスの下、若いペニスはしっかりと勃起している。
「っあ、あん、……オヤジっ、」
「いいか? 拓海」
「いいッ……オヤジ、上手っ、」
「お前が感じやすいだけだろうが」
別に大したことはしていないと文太は自嘲気味に笑った。
感じている拓海の顔は、確かにエロいし、そそるものだ。
これで愛想がもう少しよければ、池谷ほどでないにせよ、売れるだろう。
「ヌいていくかぁ? 拓海」
仕事前に一発抜くとそれだけ出来る仕事の本数は減りそうだが、これだけ勃起したままでは辛そうだとも思った。
「ヌ……く、」
拓海がこくりと頷いた。拓海のスラックスと下着を一気に下してやり、四つん這いにさせた。
「ちょ、だ、ダメだって、オヤジっ」
「うるせえ、指だけで我慢しといてやる」
「指もダメっ、手で扱いてッ、あ、あ……!」
拓海が拒む間もなく、文太の野太い指が二本、拓海の尻の穴にぶすりと刺さった。
「あ・だめ、ぁ……!」
蕾は拒みながらも文太の指を受け入れた。赤く色づいた皺が伸びる。
拓海の蕾は文太の指を根元まで飲み込んだ。
「だ……や、っ……あ、」
文太が軽く指を中で動かした。
すると拓海のぴん、と反り立ったペニスから、白濁がぼとぼとと零れ落ちた。
「おーおー、若いな……あっという間にイっちまったか」
「あ、あ……っ」
文太が拓海のペニスを扱いてやり、残滓を吐き出させた。

「だから、ダメだって……」
「うるせぇ、ここまで見せつけられて我慢できるかってんだ」
射精して力が抜けた拓海を今度はあおむけにさせると、文太はその片足を自分の肩に担ぎ上げた。
ジーンズの前を再びくつろげて特大のペニスを取り出すと、さっき指をねじ込んだ拓海の蕾へと先端を当てがった。
「客取る約束はあるのかよ」
「ないけどっ、でもっ……や、あっ、あ、あ……!」
ゴムもなしに、一気に拓海の奥までペニスを挿入する。文太の熱いペニスに、拓海の中がぐっと押し広げられる。
「オヤジっ……」
「お、いいナカしてんじゃねえかよ……締め付けがいいな」
褒められたからだろうか、拓海のペニスが再び勃起し始めた。
文太が腰を前後させ始めると、拓海は文太の背中に手を回した。
「オヤジっ、」
「あ、」
「キス……キスしてっ」
「ああ」
舐り合うようなキスを交わす。
壁の時計をちらりと見やると、まだバイトの時間には十分余裕がある。
(どうしよう、時間まだあるし……それにオヤジ、めちゃくちゃうまいしッ……)

あれほど嫌がっていた拓海は結局のところ――……流されてしまった。

「オヤジっ、もっと、もっとしてっ……」
「お前さっきということが違ってるじゃねーかよ……」
「うるせーし……」
文太の腰に足を絡め、拓海は文太の肩に軽くかみついた。
「オヤジっ、あっ、は、っ」
「もっと締めろよ、拓海っ」
遠慮なく打ち付けられる文太自身に、拓海の前身は粟立ち、文太の射精を腹で受け止めた。

「オヤジの馬鹿っ、こんなの……味わったらもう他のお客さんで満足できなくなっちまうじゃねーかっ」
セックスの後、シャワーを浴びた拓海からの言葉に文太は「しまった」と思った。
「……だからダメだって言ってたのか」
「そーだよっ。池谷先輩とかから、オヤジとやったらもう他の人とは満足できないって散々脅されてたからっ」
「そうだったのか……そりゃ済まないことをしたな」
気づいても、後のまつりである。
「……ますますオレ、売れなくなるだろっ。……それと、もう時間あんまりねーから送ってくれよな」
「ああ、ま、送るのはいいけどよ……」
汚れてしまった仕事用の学ランを洗濯籠に放り込み、学校用の学ランをスポーツバッグに仕舞う拓海の後ろにしゃがむと、文太は耳元で囁いた。
「……じゃあオレが買ってやるよ。ここでな」
「ばっ……オヤジ何言って、」
「そしたら店にピンハネされなくて済むだろ? オレのチンポも独占できるぜ」
拓海の頬に軽く口づけると、文太は意地悪くニンマリと笑った。
「この……くそオヤジっ」
拓海は顔を真っ赤にしながら反抗したが、内心では悪くないと思っていた。
そして文太に抱かれる自分を想像すると、また勃起しそうになっていた。

(終)
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